生物の発生 カタユウレイボヤ発生過程の観察 Windowを閉じる
 
 
成体 −成体の内部構造−  
 
ホヤの成体は,海底の岩などに付着し,移動できない。動きといえば体を収縮させる程度。およそ高等な動物とは思えないような形をしている。しかし,内部の構造にはエラカゴや内柱など脊椎動物との共通性が考えられる組織が見られる。
腸性目ホヤ全体の模式図とエサの運搬の様子を示す模式図
腸性目ホヤ全体の模式図とエサの運搬の様子を示す模式図
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 各組織の構造   脳神経節心臓消化管卵巣精巣輸卵管・輸精管エラカゴ内柱入水口体壁
[脳神経節] 入水口と出水口との間に脳がある。脳は神経細胞体の集まりである脳神経節と分泌細胞の集まりである神経腺からなる。様々な情報処理を行っている。例えば,カタユウレイボヤの場合は暗くなり始めると放卵・放精をはじめるが,明暗を感じ取り,輸卵管・輸精管へ放卵・放精を始めるシグナルを送っている。
頭部縦断面
頭部縦断面
拡大図
拡大図
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[心臓] 心臓は基部にあって全体を囲心腔がつつんでいる。心臓は,薄い一層の筋肉細胞が作る筒が単純なU字に折れ曲がったような形をしている。心筋は単核で横紋筋。神経支配は無い。
心臓部分の説明
心臓部分の説明
心臓部断面
心臓部断面
拡大図
拡大図

 動画 :
QuickTime高画質(720×480pixel:40MB)
QuickTime低画質(360×240pixel:5.1MB)
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[消化管] エサは,エラカゴから咽頭を通り,消化管へと運ばれる。消化管は胃から腸へと続き,基部でループ状に曲がり,エラカゴの背側を先端部まで伸び,出水口の下に肛門が開く。噴門部付近の胃1/2程度と腸1/3程度は,その外側に精巣が広がっている。消化管は柱状の細胞1層からなっている。
消化管の説明
消化管の説明
腸断面
腸断面
腸断面
腸断面
腸断縦断面
腸断縦断面
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[卵巣] 消化管のループに納まるように豆粒状の卵巣がある。内部は大小様々な発生段階の卵,卵母細胞,卵原細胞が詰まっている。卵巣上皮の部分から次第に大きく成長していく様子がわかる。
卵巣の説明
卵巣の説明
卵巣断面
卵巣断面
卵巣断面
卵巣断面
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[精巣] 精巣は,精巣ろ胞とよばれる小さな袋状の構造内に精原細胞,精母細胞,精子がぎっしりつまっている。精子形成は精巣ろ胞の周辺部から中心に向けて進んでいる。
精巣断面
精巣断面
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[輸卵管・輸精管] 輸卵管と輸精管は腸に沿って出水口の下までまっすぐに伸びている。受精可能な成熟卵,成熟精子が詰まっている。カタユウレイボヤでは輸精管の先端はオレンジの色素を持っており,近縁のユウレイボヤと識別する特徴にもなっている。
輸卵管縦断面
輸卵管縦断面
輸卵管横断面
輸卵管横断面
輸精管先端部横断面
輸精管先端部横断面
輸精管先端部縦断面
輸精管先端部縦断面
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[エラカゴ] タテ・ヨコに網の目状に管が走っている。太い管がヨコ向きの管で血球細胞が沢山詰まっている。タテの細い管には繊毛が生えている。
エラカゴ断面
エラカゴ断面
拡大図
拡大図
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[内柱] エラカゴの腹側にタテに長い器官である。横断面で見ると深いカップ状をしており,そのカベにあたる部分はいくつかの部分に分かれる。一番奥の方からは,長い繊毛が生えている。
腹側横断面
腹側横断面
内柱横断面
内柱横断面
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[入水口] 筋肉の束が縦横に囲んでいる。写真は縮んだ状態で,表皮が折り畳まれるように入り組んでいる。表皮と筋肉とがしっかり結合している。
入水口縦断面
入水口縦断面
入水口の説明
入水口の説明
入水口横断面
入水口横断面
拡大図
拡大図
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[体壁] ホヤは外側から,被のう,表皮,筋膜体,囲鰓腔上皮,に包まれている。表皮も囲鰓腔上皮も非常にルースな1層の細胞層からなる膜である。筋膜体は縦横に筋肉の束が走っている。体壁筋は,多核で平滑筋である。被のうは,非細胞性の厚い膜で,主成分はテュニシンと呼ばれるセルロースの一種である。ホヤは動物でセルロースを合成できる非常に珍しい存在である。被のう内部には,被のう細胞と呼ばれる血球細胞と良く似た細胞が散在しており,外からの異物の侵入に対応する生体防御の役割を担っている。
体表面を覆う構造の説明
体表面を覆う構造の説明
表皮と体壁筋との接合
表皮と体壁筋との接合
表皮と囲鰓腔上皮
表皮と囲鰓腔上皮
被のうを含む体表部の横断面
被のうを含む体表部の横断面
被のうを含む体表部の横断面
被のうを含む体表部の横断面
表皮からエラカゴまで
表皮からエラカゴまで
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